みーゆは女の子なんだけども、
胎内に居た頃、あたしも相方も、名前なんかぜんぜん考え付かなかった。
なんせのんびりやというか、
追い詰められないとなかなか何もしないタイプ。

その頃　妊娠5、6ヶ月とかだったか。

うちのみーゆは胎内で、ぼこぼこおなかを蹴っていた。
それはもうびっくりするぐらい。
最初は自分のおなかがごろごろしてるのか、
胎動なのかわからないぐらいだったのに、
そのうちがつんがつん存在を誇示しはじめた。

こりゃぁ男の子じゃないのか、と考えた。

で、とりあえず赤ちゃんと呼ぶのも他人行儀だし、
何か呼び名を決めたい、とaina。

相方はそりゃもっともだ、と頷いてこういった。

「んじゃ、そいつの名前は悪源太にしよう」

「……は？」

悪源太。それは歴史上の人物・源義平のことなんだと。

勇猛であるさまを「悪」という漢字で昔は表現したらしく、
決して今で言うところの悪人の意味ではないらしい。
しかし。

「その（胎動の）キックは

 まさに悪源太とよぶのにふさわしい」

「いや、いくらなんでもな…（＝＝；」

一瞬、胎教の2文字が頭を掠めたａｉｎａだったんだけども。
だって産まれる前から名前で呼んであげると、
生まれた後もその名前で呼ばれたら反応がいいとかﾅﾝﾄｶ言うじゃん。

ainaだって人並みに、
おなかを優しくなでながら、
「●●ちゃん、はやく出ておいで～」
とかそういうことをやってみるべきなんじゃないのか、
と考えたりもしたわけよ。

でも、結局ためらったのは数分で、次の日からは、

「おー。悪源太がまた蹴った」

とか言う極めてふざけた妊婦になってしまった。ごめんよみーゆ・・・（笑

やがて、太鼓の達人という別名もついた。
ぼっこぼっこ。毎日威勢がいい。結構なことだけどこっちはしんどい。
ひぃひぃいいながらその胎動に真夜中悩まされるハメになるんだけど、
それはまた、別の話。

そのうち医者に性別をきいたのよ。
医者は超音波で胎内の様子を見ながら、
平然と指差していったね。

「女の子だよ。ほら割れ目ちゃんがあるでしょ」

「あぁ…割れ目ね…ありますねぇ（＝＝」

遠い目になるaina。
割れ目ちゃんゆーな。（・∇・）
とつっこみたかったがかろうじて堪えた。（笑
産婦人科医も妊婦も、つくづく、
女を女と考えないし、女というよりイキモノなんだよね。妊婦って。
こんなあからさまな会話も普通になってしまうんだから愉快だ。

さて。
こんだけぼこぼこ勇猛果敢におなかを攻めてくるベビーが、
女の子だと。なんということだ。

家に帰って相方に報告する。
相方は可愛い女の子がほしかったらしい。それはいい。

「どーすんのさ。女の子だよ？！悪源太呼ばわりは可哀想でしょ、いいかげん」
「ふぅむ」

しばらく考えた後、相方はこういった。

「ではミドルネームをつけよう」
「あぁミドルネームねーハイハイ」

軽口をこっちも適当に受け流し、では、と、あたしは提案してみた。

「じゃぁこうしよう。悪源太フローラ」

「それ人の名前じゃなくて花だろう」

「いいじゃん！悪源太の男らしさを打ち消す可愛い呼び名じゃん！」

かくしてうちの子は、産まれるまでフローラとか悪源太とか太鼓の達人とか、
ものすごく適当な呼び名で呼ばれ続けたのでした。。。

胎教もなにもあったもんじゃないけど、まぁいっか（・∇・）
というわけで今に至ります。
今ではすっかりみーゆは名前で呼んでもらえるようになりました。
無論本名はみーゆではない。幸と書いて「みゆき」です。
今の流行に逆らって、
なるべく平易な名前になるように配慮してみた★
もちろん願いをこめて、その上で、だけども。